今日は近視進行予防の薬物療法について書いていきたいと思います。

1. 調節麻痺剤 トロピカマイド(ミドリンM)の使用

眼科で「お子さんに近視が入ってきていますね、目薬で治療してみましょう。」

と言って出される点眼薬です。

ミドリンM

この点眼薬は抗コリン剤(副交感神経抑制剤)で目の中の毛様体筋を弛緩させることにより、屈折性の近視(調節緊張)の治療をします。

日本眼科医会のHPには2~3カ月つけて改善しなければ意味がないと書かれています。

アメリカでも1980年代のTwin Study、 20名あまりの双子の片方の子にトロピカマイドを使用し、8年間経過を追いましたが、結局近視進行予防の有意差は得られなかったため、これがネガティブなエビデンスとなり近視予防にこの点眼は使われないそうです。

一方、多くのHPアクセス数を誇る清澤眼科医院の清澤源弘先生はブログで少しでも近視進行を抑えるならつけ続けることを勧めていらっしゃいます。

私も清澤先生と同じくミドリンをつけ続けることは、やぶさかではないと思いますが、医学的なエビデンスは乏しいのも事実ですから、親御さんと相談して、ケースバイケースで対応しています。

ミドリンMといえば.....思い出す患者さん

「先生から処方された目薬をさしたら目が見えなくなりました

「エエーッ」

びっくりして聞きましたら、お嬢さんに処方したミドリンMとご自分のドライアイの目薬を間違えてさしていたのでした

「そのお薬はピント調節ができなくなりますから、就寝前だけさしてください、間違えて朝、お子さんに点眼をすると大変です。気をつけてくださいってお話しましたよね....」

「いっけなーい」

本当に心臓に悪いです

2. 
アトロピン
 
image


上記のミドリンMと同じく抗コリン剤ですが、半減期がより長く、内斜視や遠視の治療に使われています。

近視の抑制効果としては、従来言われていた調節緩和によるものでなく、眼内の強膜や脈絡膜のムスカリン受容体を直接ブロックすることによって眼軸長の進展を阻害すると考えられています。

その効果は強く、1年間で近視の進行を平均0.65D抑制し、眼軸長では0.21mm抑制すると言われています。これは、眼鏡をかけている学童の平均近視進行から比べると、進行を約1/3に抑えられるというものでした。(第65回臨床眼科学会 子どもの近視予防と3D映像の影響と予防)より

台湾では0.05%のアトロピン点眼を使用し、80%の医師が標準的治療として行い、実際高度近視の有病率が低下しているそうです。

しかし、日本では....全身局所の副作用の問題でこの治療を行っているところは聞いたことはありません。

さらにアトロピンの有用性が実証されれば、今後日本でも治療に使われるかもしれません。

次回は、その他の治療法について書いていきたいと思います。