緒方眼科クリニック|蒲田駅近く

東京都大田区、蒲田駅近くの緒方眼科クリニックです。 日帰り白内障手術からコンタクトレンズの処方まで。 目のことはお気軽にご相談ください。

子どもの近視 (進行予防 眼鏡)

今日は眼鏡による進行予防について書いていきます。

1. 累進屈折力レンズ

これは、早い話が遠近両用眼鏡です。

えっ??子どもに?子どもがかけるのですか?

そうなんです。累進眼鏡によって近方を見るときに、凸レンズが加わるようにすることによって以前お話しした調節ラグを少なくするのです。

この抑制効果の初めての報告はLeungの1999年でした。

結果は-0.29Dとなかなかの結果でしたが、その後Shih2001年、COMET2004年こちらはアメリカで多施設の約500人の6~11歳の子どもを対象に+2.0D負荷の累進レンズ装用群と通常の単焦点レンズ装用群を3年間調査を行うクリニカルトライアルでした。
結果は-0.07D、その後も2008年Hasebe岡山大学、結果-0.11D、更にその後の報告のメタ解析を平均すると抑制効果は年間-0.14D、眼軸長は-0.05Dでした。

これらの結果より、臨床現場において実際推奨されるものではないと岡山大学の長谷部先生も言われています。

理論上効果を期待された累進屈折力眼鏡でしたが、残念ながらこのような結果から私は診療で子どもには勧めしていません。

累進眼鏡というのは、単焦点眼鏡よりお値段も高いですし、ましてや成長期でこまめに替えるには経済的負担もあると思います。


2. 低矯正眼鏡

1965年所先生の報告以来低矯正眼鏡は近視を抑制すると言われていました。

しかしChung2002年、Adler2006年これらの報告ではむしろ逆効果という残念な結果が出てしまいました。

原因は明らかになってはいませんが、網膜像がぼやけてしまうこと自体が眼軸伸展のトリガーになっている可能性もありますし、母親の立場から考えても、遠見時にぼやけてしまうため目を細めてしまう癖をつけるのは避けたいと思います。
 
以上のように、今のところ眼鏡による近視進行予防は確立されていません。

ただ、知っておいて頂きたいことは過矯正の眼鏡は近視を進行させる可能性が高いことです。

眼鏡をかけると近視が進むという誤解が昔からあります。

これは、違います。

適正なその子に合った眼鏡を処方してあげることが大切なのです。








皆既月食

皆様、先日の皆既月食は見ましたか?

いつもの月は右から欠けるのに左から欠けていましたね。

これは、月が地球の周りを西から東へ向かって動いているからだそうです。

月食

この日は子どもの野球の納会がありました。

子どもたちはそのままお泊まり会に。大人だけでゆっくりと鑑賞しました。

月に浮かぶ地球の影を見ることができるなんて、何て神秘的なんでしょう。感動しますね。

良い思い出になりました。


子どもの近視(進行予防 点眼)


今日は近視進行予防の薬物療法について書いていきたいと思います。

1. 調節麻痺剤 トロピカマイド(ミドリンM)の使用

眼科で「お子さんに近視が入ってきていますね、目薬で治療してみましょう。」

と言って出される点眼薬です。

ミドリンM

この点眼薬は抗コリン剤(副交感神経抑制剤)で目の中の毛様体筋を弛緩させることにより、屈折性の近視(調節緊張)の治療をします。

日本眼科医会のHPには2~3カ月つけて改善しなければ意味がないと書かれています。

アメリカでも1980年代のTwin Study、 20名あまりの双子の片方の子にトロピカマイドを使用し、8年間経過を追いましたが、結局近視進行予防の有意差は得られなかったため、これがネガティブなエビデンスとなり近視予防にこの点眼は使われないそうです。

一方、多くのHPアクセス数を誇る清澤眼科医院の清澤源弘先生はブログで少しでも近視進行を抑えるならつけ続けることを勧めていらっしゃいます。

私も清澤先生と同じくミドリンをつけ続けることは、やぶさかではないと思いますが、医学的なエビデンスは乏しいのも事実ですから、親御さんと相談して、ケースバイケースで対応しています。

ミドリンMといえば.....思い出す患者さん

「先生から処方された目薬をさしたら目が見えなくなりました

「エエーッ」

びっくりして聞きましたら、お嬢さんに処方したミドリンMとご自分のドライアイの目薬を間違えてさしていたのでした

「そのお薬はピント調節ができなくなりますから、就寝前だけさしてください、間違えて朝、お子さんに点眼をすると大変です。気をつけてくださいってお話しましたよね....」

「いっけなーい」

本当に心臓に悪いです

2. 
アトロピン
 
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上記のミドリンMと同じく抗コリン剤ですが、半減期がより長く、内斜視や遠視の治療に使われています。

近視の抑制効果としては、従来言われていた調節緩和によるものでなく、眼内の強膜や脈絡膜のムスカリン受容体を直接ブロックすることによって眼軸長の進展を阻害すると考えられています。

その効果は強く、1年間で近視の進行を平均0.65D抑制し、眼軸長では0.21mm抑制すると言われています。これは、眼鏡をかけている学童の平均近視進行から比べると、進行を約1/3に抑えられるというものでした。(第65回臨床眼科学会 子どもの近視予防と3D映像の影響と予防)より

台湾では0.05%のアトロピン点眼を使用し、80%の医師が標準的治療として行い、実際高度近視の有病率が低下しているそうです。

しかし、日本では....全身局所の副作用の問題でこの治療を行っているところは聞いたことはありません。

さらにアトロピンの有用性が実証されれば、今後日本でも治療に使われるかもしれません。

次回は、その他の治療法について書いていきたいと思います。







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